南大隅町観光の拠点、根占港から雄川の滝まで約8㎞。歩くのには遠いけど、もしやレンタサイクルだったら気軽に観光できるのではとこの機会を狙っていました。 公共交通機関利用の旅の場合、雄川の滝に行く路線バスはなく、朝9時根占港発の周遊バス(予約不要な定期観光バスのような感じ)に乗る以外手段がないのかと思っていたんですが。
別に体力はそんなにないけど、根占港からレンタサイクル(ママチャリ)で雄川の滝まで辿り着けたので行き方や注意点をまとめてみました。
(旅行時期2020年11月)
南大隅町周遊バスに乗って雄川の滝と佐多岬に行った時のブログはこちらから。
雄川の滝は(後編)に出てきます。
大隅半島南部の観光拠点は根占港
雄川の滝や本州最南端の佐多岬など、南大隅町を観光しようとするならばまずは拠点となる根占港へ集合。
■鹿児島市内、指宿方面から来る場合
鹿児島中央駅からJR指宿枕崎線で指宿駅または山川駅へ。指宿駅からバス(21分)、または山川駅からバス(8分)か徒歩(約20分)で「山川桟橋」(山川港の目の前)へ。そこからフェリーなんきゅうで根占港まで50分。
■鹿屋から来る場合
鹿屋から「根占港」またはひとつ先の「ネッピー館前」まで路線バスで約50分(1~2時間に1本)
レンタカー以外で雄川の滝へ行く手段
①南大隅町観光周遊バスに乗る
根占港を朝9時出発、14時50分解散。予約不要。佐多岬と雄川の滝を巡ります。
詳細は上記の過去ブログをご覧ください。
②タクシー
港に常駐している訳ではないので事前予約が無難だと思います。みさきタクシー
③レンタサイクル
今回はこれで。自転車をこいで約7㎞で雄川の滝駐車場に到着。行きは45分、帰りは30分。雄川の滝駐車場から雄川の滝までは徒歩で片道約15分。
④徒歩
まだやったことはないけどグーグルによると約8km、片道1時間50分ほどで滝壺の展望所まで着くらしい。
行程と時間の目安
9:50 | 根占港 |
9:55 | ネッピー館でレンタサイクルを借りる |
10:00 | 南蛮船係留の大くす |
10:15 | 諏訪神社 |
11:00 | 雄川の滝 駐車場到着 |
11:25 | 雄川の滝 |
12:20 | aqua base cafeでお昼 |
13:00 | 雄川の滝 駐車場出発 |
13:40 | レンタサイクル返却 |
13:45 | なんたん市場で買い物 |
14:00 | 根占港(14:30のフェリーに乗船) |
■おおよその距離と自転車での移動時間の目安
ネッピー館 | → | 南蛮船係留の大くす | 500m | 3分 |
南蛮船係留の大くす | → | 諏訪神社 | 1.5km | 8分 |
諏訪神社 | → | 雄川の滝駐車場 | 5km | 35分 |
雄川の滝駐車場 | → | 雄川の滝 | 1.2km | 徒歩15分 |
雄川の滝駐車場 | → | ネッピー館 | 7km | 30分 |
※水色の部分は観光や買い物などで滞在あり
※駐車場から雄川の滝までは遊歩道のため徒歩のみ
レンタサイクルを借りる
根占港付近でレンタサイクルの貸し出しをしているのは「ねじめ温泉ネッピー館」か、その向かいにある「南大隅町観光交流物産館なんたん市場」
いずれも根占港から徒歩5分ほどの場所にあります。
私はねじめ温泉ネッピー館でレンタサイクルを借りました。
でもね、この2台だけなんだって。どちらも電動アシストではなく普通のママチャリだったけど整備してあって問題なく利用できました。
利用料金 | 1時間100円(返却時の後払い) |
受付時間 | 7時~22時 |
フロントで利用申込書に氏名や住所、携帯番号等を記入するだけで借りられました。補償金や身分証の提示は必要なし。
ちなみにこちらは向かいのなんたん市場のレンタサイクル。大人用と子供用が1台ずつありました。ただ、なんたん市場(受付時間8時~18時)の方のお話では古いのでネッピー館にある自転車の方が乗りやすいとおっしゃっていた。どちらも南大隅町が行っているレンタサイクルなので利用料金は同じです。
台数の少なさが心配だと思ったけど、南大隅町役場のホームページ内に「レンタサイクルは旅行者に好評だが利用は大変少ない」という記述が。GWや連休とかでない限りは借りられるのでは。
出発!まずは南蛮船係留の大くすへ
それでは出発しまーす。せっかくなので道すがら観光をしながらのんびりと進みました。
ネッピー館 | → | 南蛮船係留の大くす | 500m | 3分 |
最初に大きな橋を渡ったんだけど、そこに流れているきれいな川が雄川。この上流に雄川の滝があるので、基本的には川に沿って上流に進むべし。
橋を渡った先にあるのが南蛮船係留の大くす。
今は雄川の水量はあまり多くないけど、500年ほど前は雄川の河口は水量が多く、この辺りは南蛮や琉球などからの貿易船で賑わっていたらしい。そしてこのくすの木にロープを巻きつけて船を係留していたそう。
そんな活躍をしていたのかと思うと、引退後の今はゆっくりのんびりとして欲しいなと思ってしまう。というか係留に使われるなんてくすの木にとってはとんだ災難だったのでは。
鳥居が2つ並ぶ諏訪神社
南蛮船係留の大くす | → | 諏訪神社 | 1.5km | 8分 |
南蛮船係留の大くすからのんびりと自転車を走らせて10分、諏訪神社へ。この辺りは道幅は広いけど車の量も多かった。アップダウンは全くなし。
こちらの諏訪神社は珍しい並立鳥居のある神社。自転車を停めてお詣りをさせてもらいました。
信州の諏訪大社の上社と下社を分霊して薩摩の総鎮守社としてお迎えした時に、その2つのお宮を横並びに造設したそうで、鳥居が2つ並んでいるのはその名残りとのこと。
無人のようだったけど、拝殿の賽銭箱横に書置きの日付入り御朱印(初穂料300円)とおみくじ(初穂料100円)がありました。
結構のどかな場所にあって静かにお詣りをと思ったけど、すぐ隣がカラオケボックスで、大音響でものすごく気持ちよくカラオケを楽しんでいる方がいらっしゃってなんかほっこりしました。ストレス発散は必要だ。
雄川の滝駐車場までの道のり
諏訪神社 | → | 雄川の滝駐車場 | 5km | 35分 |
諏訪神社のすぐ横に雄川の滝への案内板が出ていました。最後の雄川の滝までの1.2㎞は遊歩道になっているため、約5km先の雄川の滝の駐車場を目指します。
しばらくは平坦な道が続くのでママチャリも軽快。
諏訪神社からの道のりで唯一の分かれ道。だけどここも案内表示があるので問題なし。右に曲がるべし。
分かれ道を右に曲がってしばらくすると雄川と合流。ここからは雄川の流れを見ながら進むだけ。
あと2.6km!!
ここまでは良かったんだけどね、道が平坦だったからね。
段々と登って行きますよ。
スタート地点のネッピー館からこの辺りまではざっくり標高10m前後だけど、この後はゆるやかに坂道が続き、雄川の滝の駐車場付近で標高80mくらい。健脚ならなんとかこいでいけると思うけど、私は最後の1.5kmは諦めて自転車を押して歩きました。この1.5㎞に20分かかってしまった。
道路は最後まで舗装してあって状態は良い。けど写真じゃ分りづらいけど登り坂です。道幅が狭いけど乗用車や観光バスもここを通るので注意。
ほーーー!あと300m!
ここまで来たら若干のくだり、一気に駐車場まで自転車をこぎました。
疲れしまって到着した時の写真を撮っていなかった。滝見学後にカフェのテラスから撮った駐車場の様子。車も自転車も無料ですが、専用駐輪場はないので係の方の指示に従って隅に停めました。
カフェでひと息ついてから滝へ
以前来た時は自販機すらないと思わるナチュラルスタイルの観光地でしたが、時が経っておしゃれカフェ「apua base cafe」(アクアベースカフェ)が出来ていました。もうちょっとね、休まないと体が持たないので休憩。
ふぅ、生き返った。
鹿児島名産のたんかん100%ジュースをいただきました。たんかんは鹿児島が全国生産の8割を占めていて、主に奄美大島などの離島で栽培されているそう。酸味は控えめ、そしてなにより甘い。前に屋久島で飲んで以来好きになってしまって、見つけ次第飲んでいます。うまいうまい。
駐車場から滝まで遊歩道を歩く
雄川の滝駐車場 | → | 雄川の滝 | 1.2km | 15分 |
アクアベースカフェの脇から雄川の滝へ続く遊歩道があります。駐車場の係員の方もゆっくり歩いて20分くらいとおっしゃっていました。
左側の雄川に沿って進みます。上に見えるのが瀧見大橋。
舗装はしてあるけど所々に軽いアップダウンがありました。お年寄りはゆっくりと歩けば大丈夫そうだけど、ベビーカーや車いすは厳しい。
何カ所か休憩スペースがありました。
この辺りでも水の色がエメラルドグリーンに輝いていてきれい。日頃の心のどろどろが浄化される感じ。深呼吸を何回もしました。
そして遊歩道の最終地点、雄川の滝展望所に到着しました。多少のアップダウンはありますけど息が切れる様なこともなく、きれいな川の流れを見ながらゆっくりと20分ほどの道のりでした。
あとはゆっくりと雄川の滝を堪能します。
もう言葉がでない。iPhoneで撮った画像では伝わらないと思うので是非現地へ。
滝自体の水量はそれほど多くないんだけど、この滝壺のエメラルドグリーンの何ともいえない美しい色。日本にもこんな場所があるんだなあと思いました。
アクアベースカフェで昼飯
ゆっくりと雄川の滝を堪能した後はお昼。行きにたんかんジュースを飲んだアクアベースカフェでお昼もいただくことにしました。
このカフェは屋上がテラス席になっていて気持ちが良い。1階のレジで注文と会計をするとテラス席まで持ってきてくれます。
ランチメニューの中から地元産野菜たっぷりミートドリアセット(1350円+税)を注文しました。スープ、サラダ、ドリンクSサイズ、デザート付き。
このドリア、運ばれてきてからテーブルでバーナーで炙って焼き色を付けてくれるという演出つき。デザートはたんかんゼリーでたんかんはこれでもかと入っていて濃厚、上に載った生クリームには地元産の辺塚だいだい果汁が入っていて爽やか。そうそう選べるドリンクはまたたんかん100%ジュースを選んでしまいました。
こんなのどかな場所で美味しくておしゃれなカフェご飯が食べられるとは思わず、結構感激してしまいました。ドリアなどのフードメニューのテイクアウトもできます。
雄川の滝駐車場からネッピー館へ
7km | 30分 | 雄川の滝駐車場 | → | ネッピー館 |
さて帰ります。ご飯も食べたし、休憩もたっぷりしたし、あとは車に気を付けて帰るのみ。
帰りはほぼ登り道はなく、1度も自転車を押すようなこともなくネッピー館まで辿りつきました。行きは途中の観光時間を除いて45分くらいかかりましたが、帰りは30分くらい。
ネッピー館で自転車を返却して利用料金を支払いました。4時間利用で400円でした。
注意点と感想
■目的地に注意、雄川の滝の展望所は滝壺の他に滝上にもある
今回訪問した雄川の滝展望所は滝壺にありますが、滝を上から見る雄川の滝上流展望所というのもあります。地図上で見るとこの2つはすぐ近くにあるのですが、アクセスルートが全く違い、間違えて上流展望所を目指してしまうと滝壺に戻るのが困難です。レンタカーで行く場合もそうですが、雄川の滝遊歩道入口駐車場、もしくは駐車場にあるカフェaqua base cafe(アクアベースカフェ)を目的地として検索すると間違いがないと思います。
■レンタサイクルでの行程について
レンタサイクルでもなんとか行けるなとは思いました。が、行きの最後1.5㎞の登りは結構きつかった。電動アシスト自転車があればなんともない行程だと思うんだけど、南大隅町のレンタサイクル事業ではホテル佐多岬で貸し出しているものだけが電動アシストらしく、今後を期待したいです。
それとレンタサイクルを当てにして行程を組んだ場合、貸出自転車の台数(ネッピー館2台、なんたん館1台+子供用1台)の少なさはちょっと心もとない。そもそも公共交通機関で南大隅町を観光しようという人はかなり稀だとは思うけど、もう少し多いと安心かなと思いました。
登り道が始まる2㎞手前くらいから道幅が狭くなって、車同士のすれ違いも難しくなります。今回は平日だったこともありすれ違った乗用車は2台だけでしたが、ここは観光バスも通るので安全には十分注意が必要だと思います。
■雄川の滝はいつでもきれいなエメラルドグリーンという訳ではないらしい
雄川の滝の魅力と言えばあのきれいな色ですが、晴れの日が続き、水量が少ない時ほどきれいなエメラルドグリーン色になるそうです。水に色が着いている訳ではなく、滝壺の白い砂が太陽光の中の青い光を反射することであの色に見えるそうで、梅雨時期や大雨の後などで水量が増えると色が薄いことも。自然豊かな静かな場所でいつ行っても気持ち良いことは間違いないのですが、本格的に写真撮影をするなど、絶対にきれいな色の雄川の滝が見たいという人は訪問前の天気を気にしていた方がいいかもしれません。
■観光中の食事、飲み物について
南大隅町はお店が少ないエリアなので、どこで食事をするかや移動中の飲み物を買う場所などはある程度目星をつけておいた方がよさそう。
今回利用した雄川の滝駐車場にあるアクアベースカフェは水、木曜日はお休み。自転車を借りたネッピー館にレストランがありますが昼休憩があるので時間の確認が必要。飲み物やお弁当を買うのであれば、自転車を借りたネッピー館向かいにあるなんたん市場、もしくは南蛮船係留の大くすの少し先にファミリーマートがありました。
駐車場が巨大なファミリーマート根占川北店。諏訪神社まで行くとかなりのどかな場所で自販機もあまり見ませんでした。諏訪神社の先にカフェらしき手書き風看板を見たので、そのうち確認に行きたいと思います。
■雄川の滝を往復するだけの所要時間
今回は途中で神社をお詣りしたり、カフェで食事をしたりしましたが、単純に雄川の滝を見学するだけだったら3時間あれば十分だと思います。
■感想
自転車で雄川の滝に辿り着いた時に、入口で佇んでいた地元の人たちが「あの人どっから(自転車で)来たんだろう」とざわついていたことと、その後駐車場の係の人にどこから自転車に乗って来たか聞かれてびっくりされたので、レンタサイクルで雄川の滝を観光しようとする人は少ないんだろうなと思いました。
ただ、一般路線バスがない観光地なのに、レンタカーや周遊バス(定期観光バス)を使わず、まあ多少大変だけど一応レンタサイクルでも行けるんだと分かって嬉しくなりました。大隅半島自体なかなか行けない場所だし、雄川の滝の素晴らしい景観を車の運転できないからと言って諦めるのはもったいないかもしれません。以前周遊バスに乗った時に思ったのは、時間が決まってるので自分のペースで景色を楽しんだり、寄り道したりができないので多少の不自由さがあったのですが、これならかなり自由度は上がるなと思いました。また雄川の滝は周遊バスで見学して、バスだと車窓見学となる諏訪神社や南蛮係留の大くすなど根占港周辺の観光地だけレンタサイクルを利用するのもありだと思います。
おわり(旅行時期2020年11月)