桜島の北東約1.2㎞に江戸時代の大噴火で隆起してできた新島(しんじま)という小さな島があります。鹿児島港の桜島フェリー乗り場に新島への行き方や船の時刻表が貼ってあり、この島の存在を知りました。
調べてみたら島へ渡る行政連絡船は誰でも乗船可能で、島には民宿を営むご夫婦2人が住んでいるだけとのこと。今現在は静かな生活の場というよりも観光の島のようだったため、1度行ってみることにしました。
(旅行時期 2022年9月)
新島はどういう島なのか
江戸時代の中期に発生した桜島の安永大噴火(1779年~1782年)の際、桜島北東部で海底噴火が起こり、その時の隆起によって発生した8つの島のうちの1つが新島です(浸食や合体によって現在残るのは4つのみ)。
戦後の最盛期には250名の住民がいたそうですが、どんどんと移住などで減っていき、2013年には無人島に。しかしです、2019年に元住民のご夫婦が島に戻り、島民が2名になって有人島に復活。現在は島で民宿を経営されています。
まだ現れてから200年くらいしか経っていない新しい島っていうのも滅多にないので、どんなところかすごく興味が湧きました。
事前準備
いつもだと計画性はあまりないのですが、桜島の浦之前港から新島へ渡る行政連絡船の本数がとても少ないので、これだけはよく調べておきました。それと桜島島内を走る市バスも少ないので、事前によくご確認を。
■行政連絡船しんじま
日曜、水曜、金曜の週3日運航
先着12名まで乗船可能
運賃(片道):100円(大人)、50円(小学生)
行き | 浦之前港発(桜島) | 新島港着 | |
---|---|---|---|
1便 | 8:15 | ⇒ | 8:24 |
2便 | 10:10 | ⇒ | 10:19 |
3便 | 15:05 | ⇒ | 15:14 |
帰り | 新島港発 | 浦之前港着(桜島) | |
---|---|---|---|
1便 | 8:25 | ⇒ | 8:34 |
2便 | 10:25 | ⇒ | 10:34 |
3便 | 15:20 | ⇒ | 15:29 |
※2022年9月現在の時刻表なので、鹿児島市の公式HPにて最新の情報を確認してください。
新島は1周2.3㎞の小さな島で、私は釣りや海水浴をする予定はないので、1便(8:15発)で新島に渡り、2便(10:25発)で桜島側に戻ってくることにしました。これなら2時間島にいられます。
公共交通機関を使った新島への行き方はこちらのブログをご覧ください。
行政連絡船で新島港へ
浦之前港 | 新島港 | |
8:15 | ⇒ | 8:24 |
この日は日曜日。乗船できるのは先着12名なのですが、8:15発の便には9人乗ったため結構ギリギリ。浦之前港まで路線バス利用を利用しましたが、こちらも本数が少ないので早く行くというが難しくちょっと冷や冷やしました。行きの乗船時に帰りの船の予約と運賃支払い(往復分200円)をするので、新島からは確実に戻ることができます。
値段は上がりますが海上タクシーもあるみたいです。
新島港が見えてきました。お出迎えがとても可愛い!民宿のわんこです。
島の入口に歓迎の看板がありました。
新島を歩いて巡る(滞在2時間)
1周2.3㎞なんですが、東側は台風で崩れてしまって道がないらしく1周はできません。
次のように回りましたが、見どころを回るには1時間もあれば十分すぎるほどで、残りの時間はすさき海岸に戻ってぼんやりと桜島を眺めることに費やしました。でも、このぼんやりする時間がとても良かった。
①すさき海岸(1回目)
②展望所
③縄文時代の貝がら層
④五社神社(民宿で御朱印をお願いしてから)
⑤あこう群生地
⑥すさき海岸(2回目)
①すさき海岸(1回目)
島の入口はこちら。正面に見えるのが島に1つだけある民宿。現在の島民はこちらの民宿を経営されているご夫婦だけです。
私は早い時間に帰ってしまったので利用できなかったのですが、カフェもやっているそうです。
ここから海に沿って左右に道がありますが、まずは右側(南)、すさき海岸方面に行ってみます。
この舗装された道を300mほど進みます。
舗装された道の終わりまでくると、小さいですが砂浜が広がっています。
ここがすさき海岸。桜島の眺めが素晴らしい。
嬉しくなって何枚も写真を撮りました。
②展望所
すさき海岸から先は舗装がなくなります。そして奥に案内板が見えました。
「ハイジブランコ」と書かれた方面に行ってみます。
そんなに急ではないけど、それなりに上り坂。
登ったといっても5分くらいでベンチのある高台に出ました。
わー!桜島の眺めも最高。誰もいないし独り占め。(この時はちょっと雲がかかってしまいましたが)
朝ごはんを食べていなかったので、桜島フェリー内の自販機で買ったカレーパンを眺めの良い場所で。
案内板に書かれていた「ハイジブランコ」は恐らく先にあると思うのですが、朝露で濡れた草の間を歩いたために足が汚れてしまい、さらに登ってみるという気力を失いました。裸足にアウトドアサンダルみたいなのを履いていたので、とりあえず海に戻って足を洗ってきました。
③縄文時代の貝がら層
また案内板に戻ってきて、こんどは「縄文時代の貝がら層」と書かれた方面に進みます。
階段を登ります。
海に沿った道を少し進みます。海がきれいですが、化石層は左側に現れるので。
左側を見ていると、大抵は木や草で覆われているのですが、地層がよく見えるように綺麗に草刈りがされている場所があります。
近付いてよく見ると貝の化石が大量に。これは約5,000年前(縄文時代)の貝の化石。新島は江戸時代の噴火によって海底が隆起してできたので、地上で貝の化石を見ることができます。
言われただけだと「ほう、そうなんだ」という感じですが、実際に貝の化石を見ると、ここは海の底だったんだ!地球は活動している!ととたんに実感。
④五社神社
貝の化石層の先で道がなくなり、これ以上は進めなさそう。まだ島の北側を全然見てないので、一旦、新島港まで戻りました。
この日、民宿の経営者ご夫婦がTVクルーの取材を受けていたのですが、ちょうど終わったみたい。神社へのお参りも目的だったため、神社の場所と御朱印について聞いてみると、お参りの間に御朱印を書いておいてくださるとのことでした。
新島港から、今度は海に沿って左側(北)へ。そしてここを右折。
この道をまっすぐ200mくらい。
こちらが五社神社。
桜島港近くにある月読神社から分社された神社です。
島民がいなくなり、一時は荒れ放題になっていたそうですが、現在は綺麗になっています。神職の方は常駐しておらず、民宿の御夫婦が管理されています。
おみくじとお守りがいただけるので、初穂料は御賽銭箱に。
新島に来ることができてありがとうございますとお礼のあいさつをしました。
振り返ると、鳥居の向こうに桜島。どこから見ても桜島はいい。
民宿に戻って御朱印をいただきました。
初穂料は500円、書き置き、直書きともに可能だそうです。
⑤あこう群生地
五社神社から新島港へ戻る途中に、あこう群生地があります。
南国っぽい。よく似た木にガジュマルがありますが、北限は屋久島らしいので、あこうの木はさらに寒さに強いみたいです。
⑥すさき海岸(2回目)
一通り島の見どころを巡ったのですが、時間して1時間くらい。まだ1時間弱ほど滞在できるので、すさき海岸に戻って桜島を眺めることにしました。
海がきれい。人がいなくて静かという所が大変良い。
9月の暖かい日だったので、足だけ海に入って見たり、ぼんやりしたりと、のんびりした時間を満喫しました。
そうこうしていると、民宿のご夫婦がすさき海岸付近の草刈りに来られたのですが、奥様が気に掛けてくださって桜島をバックに写真を撮ってくれました。
宿泊した訳ではなく、御朱印をいただいただけなのに親切にしてくださってありがとうございます。
桜島に戻ります
新島港 | 浦之前港 | |
10:25 | ⇒ | 10:34 |
そろそろ帰りの船の時間なので新島港に戻ります。わんこ、バイバイ~
帰りの船の乗客は5人でした。船は揺れることもなくすーっと進みます。
浦之前港にある「西浦ノ前」バス停から路線バスで桜島港に戻りました。
新島のトイレ
新島港に公民館があるのですが、こちらのトイレが利用できます。公民館の中には入らず、建物の左側にトイレの扉があります。ウォシュレットではなかったですが、清潔な洋式水洗トイレです。
感想
路線バスや船の便が悪いので下調べが必要で、出発も早かったので気軽に訪れるという感じではなかったですが、江戸時代にできたという新しい島に足を踏み入れることができて満足でした。(船にちゃんと乗れるかと結構心配だった)
私は人が多い場所が得意ではないのですが、静かに過ごすことができて良かったです。そして新島から見た桜島!本当にきれいで格好良かった。
次回は民宿に泊まって、カフェも利用してみたいと思います。
それではよい旅を。