久しぶりの海外1人旅は台湾鉄道で台湾一周。2日目は雨と雷であまり観光はできず。しかも間違った切符を買ってしまって払い戻しをしたり、夕方の激混みの特急列車で長らく立って移動したりと結構大変でした。でも日本語の聞こえない中で過ごすってすごい癒されることに気付いてしまい、本日も楽しい1日となりました。
【台湾鉄道で台湾一周5日間①】台北→台中 からの続きです。
2日目 台中→高雄(206.5㎞)
台中 | 12:26 | → | 彰化 | 12:39 | 特急自強3000(新) | 券 | 40元(≒180円) |
彰化 | 14:31 | → | 嘉義 | 15:28 | 特急自強(旧) | IC | 117元(≒530円) |
嘉義 | 16:34 | → | 台南 | 17:15 | 特急自強(旧) | 券 | 139元(≒630円) |
台南 | 18:12 | → | 高雄 | 19:17 | 区間車 | IC | 61元(≒280円) |
※台湾鉄道のダイヤについては2023年5月時点のものとなります。旅行される際は最新の情報をご確認ください。運賃等は旅行時のレート1元=4.5円で計算しています。
台中の街を軽く散策
例のごとく10時近くに起床。時差が1時間あるので日本だったら11時まで寝ていたことになりますけど、ここは台湾。ぎりぎり9時台だったので早起き。顔を洗って日焼け止めだけつけて、いそいそとチェックアウトしました。
化粧を諦めたので、お茶を煎れて、昨日、銅鑼で買ったお菓子を食べる余裕はありました。
台中駅に向かいつつ、少し散策してみることに。
宿の近くにある台中市第二市場。小さなお店が無数にあってアジアという感じで楽しい。
歩いていると、やたら太陽餅と書かれたお店があるのですが、台中名物のお菓子のようです。道路のプレートにもなっていました。次回は食べ比べをしなくては。
台中には日本統治時代の建物群が残っています。台中市政府別館(写真左)は修復工事中なのか中には入れないみたい。台中市役所(写真右)は現在では役所としては利用されておらず、1階がカフェ、2階が展示室になっているそう。これも興味あり。
日本時代に台中州立図書館だった建物(写真左)は、今は合作金庫銀行の支店として使われています。
そして現在はアイスクリーム店として有名な宮原眼科(写真右)。宮原武熊氏が1927年に開業した眼科医ですが、宮原氏が帰国後、台中市衛生局の利用を経て、2010年に民間会社がリノベーションしてアイスクリームショップやレストランをオープンしました。
今回は移動の旅なので早足で。また台中に来てゆっくりと散策しなくては。
台中市第四信用合作社でアイス
この日、元々変な天気だったのですが、ざーっときました。ちょうど宮原眼科の支店の横だったので入って休むことにしました。
日本時代の銀行の建物をリノベーションした台中市第四信用合作社。アイスクリームは宮原眼科と同じものを扱っていますが、こちらはイートインスペースがあるのでゆっくり食べることができます。
アイスクリームの他に、ワッフルやお土産などがあり、それぞれ注文口が分かれています。今回はアイスクリームを食べようと思うので、「冰」と書かれたカウンターで注文します。
冰の場合、店舗入口のあたりにメニュー表があり、注文する品を決めてからレジへ。メニュー表は紙のリーフレットみたいなもので、記帳台みたいなテーブルもあるので、ペンで印をつけても大丈夫みたいです。
個別に選んでもいいのですが、限定トッピング2種がついた限定冰淇淋聖代というセットにしました。そして、そんなに大きいものではないと思い、三球聖代(トリプル)に。お値段は335元(≒1,500円)。
私は事前にアイスを選ばずにレジに行ってしまったので、その場で指さしで選びましたが、メニュー表を見てアイスを選び、メニュー表に印を付けて店員さんに見せた方がスムーズだと思います。会計後、できあがるとレシートの番号で呼び出されます。最後に、トッピングを指さしで選び、商品を受け取ります。
で、でかい。
トリプルにするとアイス3種とトッピング3種が選べ、さらに限定冰淇淋聖代はワッフルボール、季節のミニアイス、季節のトッピング2種(今回は檸檬と蝶のクッキーみたいなやつ)が付いてくるので、かなり欲張った人になりました。1人で限定冰淇淋聖代を注文するなら単球聖代(シングル)で十分です。まあ、美味しかったのでなんとか食べ切りました。
どこか朝ごはんのお店にも行こうと思ってたのですが、お腹はパンパン。
二代目台中駅と初代の遺構
食べている間に雨は上がり、台中駅へ。奥に見えるドームみたいなのが現役の駅。その手前には保存されている二代目の旧台中駅舎があります。
二代目の台中駅舎は日本統治時代の1917年に建てられ、割と最近、2016年まで現役の駅舎として使われていました。前日に訪れた新竹駅も同じですが、東京駅の赤レンガ駅舎に馴染みのある日本人からすると、とても身近に感じます。設計者ははっきりしていないようですが(新竹駅と同じ松崎万長とする記事もいくつか見かけましたが)、いずれにせよ東京駅を設計した辰野金吾の流れを汲む辰野式の建物が目を惹きます。
現在の三代目駅舎はとても近代的で、そちらもかっこいいのですが、横に並べて対比するとどちらの魅力もさらに引き立つような感じがして良いなと思いました。
内部もそのまま残されていて、無料で見学ができます。
駅舎に関する展示もあるのですが、1番気になったのが二代目駅舎が役目を終えた日の写真(2016年)。最後の列車(自強号)がホームを離れる時のようですが、台湾にもこんなに鉄オタがいるんだと驚きました。良い事です。
改札やホームも残っていて、雰囲気が味わえます。
現在使用中の三代目台中駅を横目に見て進み、二代目駅舎と反対方向へ。
こちらは初代台中駅の車庫の遺構。台中駅の改札階(2階)から続くデッキより見下ろしましたが、もっとちゃんと見られる場所があるみたいです。次回確認してみたいと思います。
彰化駅の扇形車庫へ
台中 | 12:26 | → | 彰化 | 12:39 | 特急自強号3000(新) | 券 | 40元(≒180円) |
特急自強号3000で彰化駅へ。昨日のベテランである旧式自強号も良かったのですが、この新型自強号は新しくてピカピカのタイプ。新型自強号にはICカードでは乗車できません。
このイケてる方の自強号はもちろんテーブル付き、座席下にはコンセント(日本と同じ形式)とUSBポートもありました。このタイプの自強号なら駅弁も食べやすいと思います。
平日の昼だったので車内はガラガラでした。
乗車13分で彰化駅に到着。
駅舎を出ると、いかいもこれから降りますよという天気。国内旅行だったら予定変更して外には出ないのですが、台湾まで来たので現役で使われている扇形車庫の見学に行きます。
彰化駅からは徒歩10分くらい。駅を出たら、線路の反対側に行く陸橋を越え、そのまま線路に沿って遊歩道を進みます。駅を出た所に扇形車庫への案内板が出ていたので迷いませんでした。
見学は無料ですが、受付で名前と電話番号の記帳が必要です。受付の人に「你好!(ニーハオ)」と言えば、記入すべき場所を指さしで教えてくれます。パスポートの提示については何も言われませんでした。
地面に書かれている黄色い案内表示に従って進みます。到着した頃には結構な雨が降ってきて、南国の本気を感じました。
展示車両でもない現役機関車の間を通過。地面に案内表示があるので間違ってはいないみたい。
こちらが彰化扇形車庫。日本統治時代の1932年に完成し、現在も現役で使われています。
扇形車庫は、この転車台の上に機関車(貨物などを引っ張る先頭車両)を乗せ、くるっとまわして効率よく車庫に格納するシステムです。
転車台の上や車庫の内部は立ち入り禁止ですが、木製の遊歩道の上を自由に歩くことができます。いや、立ち入り禁止の看板があっても結構自由に線路に入っている人がいますねぇ。職員が近くで仕事をしていても何も言わないので、明らかに日本よりゆるい感じです。
使われることがあるのかはわかりませんがSLがいました。
車庫全体を見渡せる展望台もあります。私はひどい雨と雷におびえながら見学したのですが、台湾のオタクは何も動じていない様子。強い。
展望台の上から。私がいた40分間に転車台の使用はなかったので、絶対に動いている所を見たい人は1,2時間滞在するつもりでいた方がいいと思います。
施設内に「駅のお食事処」と書かれた幟が出ていて、休憩したくて入ってみました。飲食はコーヒーくらいしかなかったですが、グッズは充実していました。椅子は2、3席しかありません。
扇形車庫のポストカードを買ったら、切手もいるかと言われたので一緒に購入。日本までエアメールで送りたいと言ったら、10元分の切手が必要だと調べてくれました。よく見たら切手も扇形車庫の絵柄ではないですか。よい思い出になりました。
列車は動いているのか?
豪雨に心折れながらも彰化駅に戻ってきました。本当は彰化大仏を拝んだり、名物の猫鼠麺というのを食べに行こうと思っていたのですが、もう私のライフは0に近く、諦めて先に進むことに。
駅に来てみると改札横に不穏な案内板が出ていて、しかも列車案内の電光掲示板が全て消えていました。心配になって台南方面は動いているのかと駅員に尋ねたら、大丈夫だそう。
手書きの案内板をグーグルレンズで翻訳したら以下の通り(下記は表示されたそのまま)
ステータスレポート:雷の影響を受ける
影響レベル:列車情報表示器
列車に影響を与える:臨時休業中、旅行者はご注意ください
交通案内:放送情報にも注目
チケットの処分:-
不便をかけてごめんなさい!
「落雷により電光掲示板が故障。運行情報については駅のアナウンスを聞いて確認してね。不便かけちゃってごめん」という意味ですよね。きっと。
改札の総合電光掲示板は消えていましたが、ホームにある列車案内はきちんと表示がされていて、次列車の時刻と準點(定刻通り)と書かれていました。よかった。この日以降、夕方の混雑時には晚點と表示された列車が結構あったのですが「遅れ」という意味だそうです。台湾鉄道の定時運行率はそこまで高くないとのことですが、予定を詰めこまず、とりあえず一周することが目標なので、運休しなければ問題なし。
準點=定刻通り
晚點=遅れ
停駛=運休、運転見合わせ
運行状況は台湾鉄道の公式サイト(日本語)でも確認でき、トップページの上部にある列車運行状況をタップすると表示されます。駅員に大丈夫と言われた後に念のため公式サイトを見てみると、2022年から災害によって一部運休している集集線以外は平常運転となっていました。それと、日本語ページなのですが、運行状況のページに関しては日本語と中文が混ざった感じで完全ではありませんでした。(ほぼ意味は理解できそうでしたが)
KANOの聖地、嘉義駅へ
彰化 | 14:31 | → | 嘉義 | 15:28 | 特急自強(旧) | IC | 117元(≒530円) |
切符は買わずに悠遊カードで入場。ほぼ満席ですが、通路に立っている人はあまりいない状況。探せば座れたと思いますが、ドア近くで立っていることに。椅子を持ち込んで座っている人がいてなるほどと思いましたが、目の前に思い切り「ドア付近に座らないこと」というような注意書きがありました。
途中の田中駅。読み方はデンチューだそうですが、日本時代につけられたと聞いてまあ納得。しなの鉄道の田中駅と姉妹駅提携を結んでいるそうです。
こちらは斗六駅。このフルーツベンチはかわいすぎるので絶対に座りに行きたい。
1時間ほど特急列車に揺られ、嘉義(ジャーイー)駅に到着しました。
嘉義になぜ来たかったかというと、また映画なのですが、数年前にKANO 1931海の向こうの甲子園という台湾映画を見たからなのでした。映画は2014年に公開されたものですが、日本統治時代に台湾代表として甲子園に出場し、初出場ながらも準優勝を果たした嘉義農林学校(現 嘉義大学)野球部の実話に基づくお話。主役である野球部の監督を演じたのが永瀬正敏さん。
映画の大ヒットによって、永瀬さん演じる近藤監督の家のセットが見学できるようになっていたり、準優勝時のエースである呉明捷投手のモニュメントがあったりと、見たい場所がたくさんあったのですが、どしゃぶりの雨により観光する気になれず。台湾の西側は交通網も発達していて来やすいので、また来ればいいかとあっさりと諦めました。
嘉義駅。雨には濡れたくなかったけど、駅舎の外観だけは見ておこうと思って少しだけ外出。色合いといい、形といい、可愛らしい駅舎です。日本時代の1933年に建てられ、台湾文化遺産に指定されています。
内部もクラシカルで雰囲気が良かったです。
間違った切符を買ってしまう
次は台南まで行くのですが、疲れているし、特急でも40分くらいかかるので絶対に座りたい。特急の指定席券を購入しようと券売機を見ていると、夕刻の混雑時になぜか特急 普悠瑪号の空きがあったので即購入。駅弁も購入して準備万端。
出発時間が近くなり、自動改札を通って改札内へ。なぜか台南方面の列車案内に私の買った時刻の列車がありません。疲れていて見つからないのかなと思って、改札にいた駅係員に切符を見せてホームを尋ねると8番線ですって。そうかそうかと階段を渡ってホームについてから気付きました。
私の買った切符はなぜか台中行き。
台中って、この日の朝に出発した駅ですよ。先に進むのではなく、逆向きの切符を買っていたのでした。
あーん。改札の駅係員に「逆向きの列車の切符を買ってしまった。私は台南に行きたい」とグーグル翻訳した中文を見せた所、改札を通してくれ、窓口に行くよう案内がありました。窓口で同じ翻訳画面を見せると、まず払い戻し。購入時に使ったクレジットカードが必要で、手数料45元を引いた残りがカード会社を通じて払い戻されるとのこと。そして改めて切符を購入。直近の特急自強号の指定席券は売り切れていて、「No seat?」=立ち席でもいいか?と聞かれたのでYESと返答。一応切符の買い替えは無事できました。駅員さん達は英語ができますが、英語が苦手な人は翻訳アプリを通じてとか筆談とかで全然大丈夫そう。
今回は1度入場した後の払い戻しなのでよくわからず窓口に行きましたが、通常は券売機で払い戻しができます。それと落ち着いてよく考えたら、立ち席だったら悠遊カードで乗車した方が安かったなと思いました。まあそこまでの気持ちの余裕がなかったですが。
切符を窓口で購入し、ホームに向かうとすぐに特急自強号が到着しました。すごい混んでいて、ドア横に立っているしかありませんでした。駅弁は食べられないことが確定したためサブバッグにしまおうとすると、近くにいた台湾の女の子が「私、持ってましょうか」(完全に想像だけどこんな感じの台湾語だと思う)と私がサブバッグを広げるまで駅弁を持っていてくれました。この旅の間、何度もあったんだけど台湾の人の親切がさりげないのよ。ほんと助かりました、ありがとう。
すごく混んでるんだけど、台湾の人たちはとても大人しく、大声で会話している人もいなくて結構快適だったな。押したりもしないし、順番もちゃんと守るし、これはちゃんとしていて良いなと思いました。
台南に立ち寄り、そして高雄へ
嘉義 | 16:34 | → | 台南 | 17:15 | 特急自強 | 券・席なし | 139元(≒630円) |
台南 | 18:12 | → | 高雄 | 19:17 | 区間車 | IC | 61元(≒280円) |
はい、台南駅到着。嘉義駅から40分くらいずっと立っていましたが、途中の停車駅が新營駅の1駅だけだったの体感としてはもっと短く感じました。
駅舎を見ようと外へ出てみましたが、修復工事中のよう。
嘉義駅のどしゃぶりが嘘のように晴れてますね。
現在使用している駅舎は日本統治時代の1936年に建てられた二代目駅舎。後で調べてみると、二代目駅舎をホテルやレストランも含めてその当時の姿に修復し、さらに地下に新駅舎を建設中とのこと。かつて2階で営業を行っていたホテルには昭和天皇が皇太子時代に宿泊したこともあるそうです。
2022年完成予定となっていましたが、例の疫病の影響で遅れているのかもしれません。
券売機で指定席の状況を見てみると空きがあるのは19時以降だったので、もうあと少しだし区間車でゆっくりと高雄に向かうことにしました。なのでここは悠遊カードで入場。
18:09発の特急自強号の様子を見ると(指定席券は売り切れ)、やっぱり混雑していて通路もぎっしり。仕事帰りの人たちが使っているんでしょうか。私は時間に縛られるのが嫌なので予約はしたくないのですが、朝夕に絶対座りたい場合は早めに予約をした方がいいと思います。
夕飯の時間だからか、駅構内ではあちらこちらで駅弁を食べている人がいました。そうそう私も嘉義駅で買った駅弁があるので、ホームのベンチで食べました。肉の他、鯖も入っていてボリュームたっぷり。本当に美味しかったです。
こちらの区間車に乗って約1時間、本日宿を取っている高雄駅までやってきました。特急の混雑に比べて区間車はガラガラで快適でした。まあ同じ料金なら(IC乗車の場合)、混んでいても特急に乗りますよね、普通は。
高雄は南部最大の都市で、駅も近代的。駅のある地下部分は完成していますが、商業施設などが入る地上部分は現在工事中です。旧駅舎は明日見に行くとして、予約したホテルに向かいます。
2日目の宿 Single INN Kaohsiung Station
宿泊料:1泊3,000円程度
アメニティ有料:タオル30元、バスタオル50元、歯ブラシ10元、パジャマ50元
個室、シャワー・トイレ共同、大浴場あり
コインランドリーあり
Wi-Fi:あり(問題なし)
Single INN Kaohsiung Station(by agoda) ←現在の金額等はこちらから確認ください。
台湾鉄道の改札からだと徒歩10分くらい。agodaから予約して1泊3,000円くらいでした。全室シングルの泊まるだけの部屋なのですが、ドミトリーと違って個室で鍵がかかると思うとだいぶ心理的に楽。綺麗だし1人ならまあいいかなと思いました。室内でクーラーの温度調整ができずかなり寒いのが難点。
フロアは完全男女別。シャワーとトイレは共同。湯の温度が温水プールくらいだけど一応2階に大浴場がありました。
ロビーに無料のお菓子とドリンク(コーヒー、紅茶)がありました。この日フロントにいた方は英語と簡単な日本語ができ、注意事項については日本語で書かれたものが用意されています。アメニティ(有料)を利用したい場合は、フロントにイラスト入りの料金表があるので指さしでOK。
ロビーに横浜在住の台湾の方がいて、日本語で話掛けてくれたんですが、お勧めの朝食のお店を教えてもらえたので運が良かったです。翌朝はもちろん、そのお店へ。
もうこの日は疲れ果てて、コインランドリーで洗濯して大浴場に行ったら外出する気も起らず。早々に寝てしまいました。
(3日目に続く)