久しぶりの海外1人旅は台湾から。一周約900㎞、九州ほどの大きさの台湾を台湾鉄道のみでぐるっと一周してみることにしました。
特急に乗れば1日で一周可能なのですが、今回は5日間という時間が取れたため、宿の予約と降りてみたい駅の目星だけつけておき、あまり予定を立てずにゆっくりと回ってみることにしました。
※台湾鉄道のダイヤについては2023年5月時点のものとなります。旅行される際は最新のダイヤをご確認ください。運賃等は旅行時のレート1元=4.5円で計算しています。
事前準備
台湾の中長距離鉄道には、台湾を一周するように走っている台湾鉄道(台鉄、TRA)と台湾高速鉄道(台湾新幹線、高鉄、THSR)がありますが、今回は台湾鉄道だけで台湾を一周してみました。
■切符のネット予約⇒しない
■台湾鉄道のフリー切符(TR-PASS)⇒使用なし
■宿の予約⇒予約した
特急列車などの切符は日本からネット予約できますが、融通が利かなくなると思って基本的に駅でその都度購入しました。台湾にも交通系ICカードがあり、IC乗車の割引もあるため、区間車(普通列車)や唯一ICカードの使える特急である(旧)自強号に利用しました。
TR-PASS(一般用) | |
---|---|
3日間 | 1800元(約8,100円) |
5日間 | 2,500元(約11,250円) |
TR-PASSというフリー切符があるのですが、元が取れなさそうだったのと、使い勝手があまりよくなさそうだったので使いませんでした。最初に言ってしまうと台湾鉄道だけの5日間の交通費は7,500円ほどでした。
あとお世話になったのが、台湾鉄道の時刻表を日本の形式にしてくださっている台湾鉄道時刻表(非公式日本版)。この時刻表を見ておおよそのスケジュールを決めました。
最新の時刻については台湾鉄道の公式サイト列車時刻照会(台湾鉄路公式・日本語)で確認しました。(日本語表示にならない場合はメニューから切り替えを)
台湾鉄道の乗り方については、こちらにまとめています。
【1日目】 台北→台中(165.0㎞)
台北 | 11:58 | → | 新竹 | 13:06 | 特急自強号(旧) | 券 | 177元(≒800円) |
新竹 | 13:47 | → | 銅鑼 | 14:33 | 区間車 | IC | 59元(≒270円) |
銅鑼 | 15:28 | → | 豊原 | 15:52 | 区間車 | IC | – |
豊原 | 16:01 | → | 台中 | 16:11 | 特急自強号(旧) | IC | 55元(≒250円) |
台湾に到着
羽田 5:25 → 桃園(台湾) 8:00(日本との時差ー1時間)
今回は往復とも、台湾のLCCであるタイガーエア台湾を利用しました。羽田でのチェックイン開始が2:55だったので、寝たらいけないと思って第3ターミナルをうろうろしながら待っていました。横になれるようなベンチも結構あって、寝ている人も多いです。
まあ、こういう変な時間だと保安検査も出国手続きも閑散としていて、ほぼ待たないという利点がありますね。あと、朝に到着するので、その日1日活動できて案外悪くないと思いました。
LCCなので狭いと言えば狭いですが、3時間半ほどのフライトなのと、全然寝ずに搭乗したのでぐっすりと寝ている間に桃園空港に到着しました。
モニターやWi-Fiはないですが、USBポートが足元にあったので充電はできました。機内食やドリンクは有料。
乗客の8割くらいが台湾人、残りが日本人といったところ。CAさんは全員台湾の人だと思いますが、1人だけ日本語の話せる方が乗っていて、日本語のアナウンスもありました。
8:00到着予定だったのですが、早く到着して7:45には飛行機から降りることができました。そしてスムーズに入国審査も進み、8:05には到着ロビーで黒松沙士(薬草入りのコーラという味)を飲んでひと休みしています。
私は常客証(過去1年間で3回以上台湾に入国すると申請可、入国審査を並ばずに通過できる、有効期限延長中)を持っていたので、スピードゲート利用で待ち時間なく通過できましたが、通常のゲートでもこの時はあまり混んでいませんでした。恐らく30分以内の待ち時間で通過できたのではと思います。
桃園空港から台北駅へ
今回の台湾一周は左回りの予定で、桃園空港からだと台鉄の桃園駅まで路線バスで出るのが1番近いと思います。ですが、台北駅を基点にして一周したかったので、とりあえず桃園MRTに乗って台北駅まで行きました。
桃園MRTの改札ですが、トークン(切符)や交通系ICの他、クレジットカードのタッチ決済やApple Pay、Google Payなど各種決済方法に対応していて便利。切符を買う必要がない。
台北駅に到着後、何はともあれまずは朝食。台湾で1番楽しみにしているのが朝食のお店に行くことです。
台北駅の桃園MRTの出口から徒歩5分くらい、李記豆漿というお店。台北に着いてからグーグルマップで探しました。注文口にいた店員さんが片言の日本語ができる方だったので、指さし+日本語で大丈夫でした。鹹豆漿(シェントウジャン)と言ったら通じて、肉まんを指さしたら「肉?野菜?」と日本語で具材を聞いてくれました。
こういう小さいお店だと日本語はもちろん、英語も通じないことがありますが、現地の言葉で挨拶(こんにちは=「你好」ニーハオ)をすれば聞く姿勢を取ってくれるので、後はメニュー指さしなどでなんとかなりました。メニュー表が読めない場合はグーグルレンズでの翻訳も活用。そして最後には必ず感謝の言葉(ありがとう=「謝謝」シェシェ、もしくは「多謝」トーシャー)を。
鹹豆漿は豆乳をお酢で固めておぼろ豆腐のようにしたスープです。このお店の鹹豆漿はお酢が強め、さっぱりとした味でした。(好みがわかれるかも)
食後には野暮用を済ましに銀行へ。実は4日目の宿をagodaで予約し、現地決済しか選べない宿ではあったのですが、予約直後に事前に宿泊料を銀行振り込みするようにとメールがきました。よくよく確認するとagodaの宿ページに注意事項としてきちんと記載がありました。おそらくメッセージ等で宿に事情を連絡して当日払いにしてもらえばいいと思いますが、経験として入国後にやってみることにしました。ちなみに日本から送金振込すると手数料が高額です。
宿からの振込み依頼のメールは英語と中国語で書かれていましたが、中国語で書かれた轉帳(=振込)の部分と、振込先や金額の部分をマーカーで印を付けておき、銀行の案内係の人に見せると、ATMですぐ手続きをしてくれました。振込先と同じ銀行だったので手数料は無料。少し中国語がわかれば駅やコンビニのATMから簡単にできそうではありました。(面倒なのでもうやりたくないけど)
入店から5分くらいで全て終わって、親切にしてくれた銀行の方に感謝。振込人名だけ自分で入力する必要があることと(私はピンイン入力ができないのでアルファベットで)、証拠として振込明細表の発行を忘れずに。
台北駅から台湾鉄道一周旅に出発
台北駅に戻り、やっとスタートです。
まずは切符の買い方を試して安心しようと思い、台北駅の1階ホールにある台湾鉄道の券売機へ。前述の通り、日本語表記に切り替えできるので問題なく買えました。最初なので特急自強号の指定席を購入。クレジットカード(VISA、Master、JCB)も使えます。
同じく1階、「西3」の出入口横に台鉄夢工場(台湾鉄道のグッズ店)と台鉄の駅弁売場(2店舗)が並んでいます。お昼は駅弁かなと思っていたのですが、駅弁売場は30人くらい並んでいて、きっと駅ホームにもあるのではと思って買わず。
台鉄夢工場でスタンプ帳になりそうなメモ帳を買い、店の前に置いてある台北駅のスタンプを押してみました。
台湾鉄道の改札は地下1階です。台鐡TRAと書かれた案内表示を辿って行くと着きます。
改札は日本の鉄道と同じような感じ。
自動改札は手前から紙の切符投入口、QRコード、ICカードのタッチ箇所が並んでいます。QRコードでの入場は、公式サイトからネット購入した切符を専用アプリに登録すると使えるようです。
私が購入したのは11:58発の特急自強号。案内板を見ると3Bのホームから出発の模様。月台=プラットホーム。
ホームの番号のつけ方が日本とちょっと違いますね。
私は9号車だったのですが、上部に乗車位置案内もあります。
日本とは座席番号のふりかたが違いますが、窓枠の所に表示があって迷わずに座れました。道=通路側、窗=窓側。
窓 | 1 | 3 | 通路 | 4 | 2 | 窓 |
窓 | 5 | 7 | 通路 | 8 | 6 | 窓 |
2席×2席の並びですが、こんな感じに席番号がつけられていました。
で結局、駅弁はホームにはなかったので、何も食料を持たずに乗車。
同じ自強号といっても車両に違いがあって、これは年季の入ったベテラン車両(旧自強号)のよう。テーブルがない上に通路側だったので、駅弁は買わなくてよかったかもしれません。MRTと違って車内での飲食は可能ですが、実際そんなに車内で食べている人は見ず、駅で食べている人が多かったです。
新竹駅近くの車窓。この辺りはほどよく都会で、関東の中都市という感じ。
台湾に現存する最古の駅舎「新竹駅」
台北 | 11:58 | → | 新竹 | 13:06 | 特急自強 | 券 | 177元(≒800円) |
台北から特急で1時間ほど、新竹(シンチュー)駅で下車しました。
そういえば、海外では駅名票やホーム端での列車撮影等に厳しい国もあると思うのですが、台湾は全然自由にできました。むしろ台湾のオタクも普通にやっていました。
この駅舎は日本統治時代の1913年に建てられ、今現在残っている駅舎としては台湾最古のもの。当時、台湾総督府鉄道局に勤務していた松崎万長(まつがさき つむなが)が設計を担当しています。他に台湾に松崎氏の建築物はあるのかなと思ったら、台北の西門にある西門紅楼というレンガ造りのビルが今も残っているそうで、地図に印をつけておきました。近いうちに行ってみようと思います。
新竹は台北から近いのでまたいつでも来られると思って、街の散策はせずに先を急ぐことにしました。
ホーム側から見た駅舎も立派です。
新竹駅から区間車に乗る
新竹 | 13:47 | → | 銅鑼 | 14:33 | 区間車 | IC | 59元(≒270円) |
今度は切符は買わず、自動改札をICカード(悠遊カード)で入場。新竹駅から区間車(普通列車)に乗ります。
区間車もこの旅で何回か乗りましたが、どれも新しくて綺麗でした。
ドア上に電光掲示場があり、次駅の案内が出るのでわかりやすいです。駅名のアナウンスを聞いてもピンとこないですが、漢字ならぱっと見て理解できるので。トイレもついています。
日本なら車掌が使うドアの開閉ボタンは車掌室に付いていると思うのですが、車両のドア横に複数あり、鍵で開錠して操作をしていました。なんか新鮮な光景。
崎頂駅を過ぎた辺りでは所々海が見えました。海は写真に収めることはできなかったのですが、海沿いに並ぶ風車群の一部が撮れました。
途中の竹南駅。この駅から線路は山線と海線の二手に分かれ、彰化駅でまたひとつになります。私が乗っていたのは山側を走る山線です。
豊富駅より。窓の向こうに見えるのは高鉄苗栗駅。台湾鉄道と高鉄(台湾新幹線)は全くの別会社らしく、行き来が不便なことが多いのですが、ここはバスに乗らないで乗り換えできそう。
映画の舞台「銅鑼駅」で下車
1時間ほど区間車に揺られ、銅鑼(トンロウ)駅で下車しました。
小さな駅ですが、駅ベンチが優雅だったことと、ワンコが安心して昼寝するくらいのんびりした駅で良かったです。
自動改札はないですが、改札の両側にICカードリーダーがあります。
何年か前に台湾の古い映画「冬冬の夏休み」を見たのですが、舞台がこの銅鑼駅で、一度行ってみたいなと思っていたのです。
冬冬の夏休みは非情城市の侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督による1984年公開の作品。40年も前の映画なので、駅周辺もすっかり変わっているのではと思ったのですが、意外にも作品に出てくる冬冬のおじいちゃんの家(開業医という設定)がそのまま残っていて驚きました。駅のすぐ近くにあります。
冬冬の夏休みは、母親の入院のため幼い兄妹が銅鑼にある祖父の家に預けられるという話で、川遊びをしたりとのどかな田舎町という印象でしたが、駅前はかなり賑やかになっていました。
昼を食べていなかったので駅前のパン屋でパンを購入。でもこのパン屋「銅鑼錦香餅舗」は1935年創立と看板に書いてあったので、映画が撮られた時はすでにあったんですね。
トレーに好きなパンを取って、最後に会計するという日本と全く同じシステム。駅のベンチで食べました。台湾は移動に関しては現金はあまり必要ないですが、食堂やこういう小さなお店は現金のみなので、ある程度両替が必要でした。そういえば悠遊カードのチャージも現金のみでしたね。
駅に戻りました。銅鑼駅は特急が停まらないので、また区間車で移動します。
反対ホームに自転車と一緒の方が。区間車は車両によっては自転車を折りたたまずに乗り込めるようで、駅の階段にも自転車牽引用のレールがありました。
この日は台中駅まで
銅鑼 | 15:28 | → | 豊原 | 15:52 | 区間車 | IC | – |
豊原 | 16:01 | → | 台中 | 16:11 | 特急自強 | IC | 55元(≒250円) |
銅鑼駅から悠遊カードで入場し、区間車に乗りました。この日は台中に宿を取っていたのですが、Googleで調べると豊原駅で特急に乗り換えた方が到着が早いみたい。車内で乗り換え案内があったとしても言葉がわからないため、豊原駅の時刻案内板で乗り換えホームを確認しました。階段を使っての乗り換えでしたが乗り換え時間が9分もあったので余裕。
夕方とあって特急自強号はかなり混雑していて、ドア付近で立っていました。まあ乗車は10分くらいなので大丈夫。
旧自強号(新自強号3000は不可)であれば悠遊カードで乗車できます。特急なのに区間車(普通列車)の運賃で乗車できる上、70㎞以下の移動の場合は10%運賃が割り引かれます。5日目に悠遊カードで特急(旧)自強号に乗っていて検札が来ましたが、端末でチェックしただけで特急料金が引かれることはありませんでした(後日アプリで確認)。立ち席扱いで座れる保証がないとはいえ得なんですが、このシステムだと区間車に乗る人がいなくなるので、朝夕の通勤通学時間に特急の混雑がひどい理由がわかります。時間帯によっては特急指定席券を持っていても混雑で自分の座席まで辿り着けないのではと思ってしました。(しかも悠遊カードや定期券乗車の人が座っていると思うので、移動してもらう心理的負担も)
台中(タイジョン)駅に到着しました。
台中駅は近代的な大きな駅ですが、2代目の台中駅舎や初代の遺構も隣接して保存されています。それはまた翌日。
王子神谷と一中街夜市
予約した宿に荷物を置いて、ご飯を仕入れに行きます。駅からは少し離れているのでバスに乗りました。乗車、降車時共にICカードリーダーにタッチします。あとで履歴を見ると15元(≒70円)でした。Googleマップで調べるとバス番号が出て来るのでそのバスが来たら乗り、乗っている間もGoogleマップを見て、間違って思わぬ方向に行った場合は速やかに下りればいいやというスタンス。バス停では手を挙げたり走って近付いてアピールしないと、そのまま止まらず行ってしまうことがあります。
宿は台中駅から路線バスで2,3分の台中公園近く。そこから歩いて王子神谷に行ってきました。日本式のスフレパンケーキのお店で、東京メトロ南北線の王子神谷駅から名前を取っているみたいです。東京都北区から来た者として、前から行っておかねばと思っていたのでした。
スフレパンケーキはふわっふわでもちろん美味しいのですが、旬のマンゴーは絶対美味しいでしょ。期間限定で日本に出店したこともありますが、フルーツ系は台湾でないと(この価格では)食べられないと思います。
王子神谷はさらに南部の台南発祥とのことですが、現在は5か国16店舗を展開しているそうです。台北にも支店があります。
王子神谷で食べた後、さらにふらふらしていると夜市を発見。古早味弁當というお店でお弁当を買って、宿で食べることにしました。
例のごとく、店頭に掲示してあるメニュー表を写真に撮り、画面を指さして注文しました。どういうものかわからなかったのですが、総合弁當80元(≒360円)というのを注文したら、店頭のショーケースから野菜のおかずが3品選べるらしく(ジェスチャーで教えてくれた)、さらに指さしで選びました。
弁当屋の近くでスイカジュース(50元≒230円)も購入。
八角があまり得意ではないのですが、そんなに強くもなく、野菜もたっぷりで美味しかったです。台湾らしさも味わえるし、選ぶ楽しさもあるし、1人だったらお弁当を買って食べるというも全然ありだなと思いました。
1日目の宿 Adagio Hostel
宿泊料:1泊 2,700円
個室(シャワー、洗面台、トイレ付き)
設備備品:エアコン、テレビ、ドライヤー
アメニティ等:歯ブラシセット、かみそり、コットン、綿棒、水、バスタオル
Wi-Fi:あり(問題なし)
Adagio Hostel(by agoda)←現在の価格等はこちらから確認ください。
この日はAdagio Hostel(アダージョホステル)という宿に泊まりました。ここは安かったですが2022年にできたばかりで綺麗で良かったです。10日くらい前に予約してagodaで2,700円だったので、1人で泊まる分には大満足でした。(価格は日々変動します)
トイレの真横にシャワーがあり、シャワーを使うとトイレが濡れるのが難点ですかね。あとは看板も何も出てなくてわかりづらい所、駅から少し離れている所が気になる点。ホステル内にコインランドリーはないですが、徒歩圏内にいくつかあります。
たまたまホステルの人が中から出て来たので確認できましたが、これは一見普通のマンション。施錠されているので、インターフォンで「你好!I’d like to check-in,please.」とか言えば開けてくれると思います。フロントはみなさん英語が通じます。チェックイン以降はルームキーで開錠。スタッフが不在となる19時以降にチェックインする場合は、入室方法を知らせるメールが届くそうです。(19時までにチェックインした方が無難)
(つづく)それでは2日目に続きます。