今回の旅行では台湾鉄道(TRA、台鉄)を使って台湾を一周しました。切符の事前予約をせずに当日購入やIC乗車で利用したのですが、割と日本で鉄道旅をしているのと近い感覚で旅ができました。
ただ、最初は何もわからず、海外ということで多少不安もあったため、切符の買い方や乗車方法、使用済み切符の持ち帰り方など、今回の旅で経験した台湾鉄道の予備知識をまとめました。
※2023年6月に台湾一周を行い、その後も台湾訪問のたび順次情報更新をしています。(最終訪台2024年8月)
運賃等は2023年6月旅行時のレート1元=4.5円で計算しています。
旅行される際は最新情報をご確認ください。
台湾の鉄道について
台湾の中長距離鉄道には台湾新幹線(台湾高速鉄道、高鉄、THSR)と、今回利用した台湾をぐるっと一周する台湾鉄道(台鉄、TRA)があります。台湾新幹線に対して台湾鉄道は在来線の役割ですが、日本のJRとは違って全くの別会社です。
その他に、台北や台中、高雄といった大都市にはMRTやライトレールといった都市鉄道もあります。
台湾は九州と同じくらいの大きさで、台湾鉄道を使って一周すると約900㎞。特急を乗り継げば1日で一周することも可能です。
台湾鉄道は環状となった幹線の他、ランタン上げで有名な十份がある平渓線、ローカル線として人気のある集集線といった支線がいくつかあります。
列車の種類
台湾鉄道の種別 | 指定席 | IC乗車 | |
---|---|---|---|
自強号3000(新型) | 特急 | ○ | × |
自強号(旧型) | 特急 | ○ | △立ち席 |
普悠瑪(プユマ) | 特急 | ○ | ×全席指定 |
太魯閣(タロコ) | 特急 | ○ | ×全席指定 |
莒光号 | 快速急行 | ー | ○ |
区間快車 | 普通(快速) | ー | ○ |
区間車 | 普通 | ー | ○ |
①交通系ICカードで乗車できる特急がある
特急はかなり年季の入った「旧型の自強号」とピカピカの「新型自強号3000」がメインとなります。このうち「旧型の自強号」(以下、(旧)自強号)は台湾の交通系ICカード(悠遊カード等)で乗車できます。
座席指定はできずに立ち席ですが、空いている席があったら座っていてOK(指定席券を持った人が来たら移動する)。IC乗車の割引(※次項で説明)もあります。
ただ、順次新型車両に入れ替わっているようなので、近い将来には「特急=IC乗車不可」となるのではと思います。
②普悠瑪号、太魯閣号は全席指定で売り切れが早い
特急の中でも普悠瑪号、太魯閣号は全席指定のため、当日だと完売していて乗れないことが多いです。どうしても乗りたい場合は事前にネット予約しておいた方がいいと思います。(ネット予約は28日前より)
新旧自強号の見分け方(時刻表・券売機)
左:IC乗車できる(旧)自強号 ⇒「自強○○○(3ケタ列車番号)」と表記
右:IC乗車不可の(新)自強号3000⇒ 「自強(3000)」と表記
ICカード乗車時の運賃について
台湾鉄道は全エリアで台湾の交通系ICカードが利用できます。快速や普通列車だけでなく、特急の中でも(旧)自強号についてはICカードで乗車ができます。
特急の(新型)自強号3000、普悠瑪号、太魯閣号はIC乗車不可。違約運賃が発生するので注意。
区間車(普通列車)等のIC運賃
莒光号(快速急行)、区間快車、区間車に関しては、IC乗車で運賃が10%割り引きとなります。(乗車距離問わず)
特急(旧)自強号のIC運賃
■70㎞以内の場合
普通運賃(区間車と同じ運賃)から10%引き(←お得感あり!)
■70㎞を越える場合⇒①と②の合算
①70㎞以内の区間 普通運賃(区間車と同じ運賃)から10%引き(←お得感あり!)
②70㎞を越える区間 特急の通常運賃
例:
嘉義⇒台南 距離61.4㎞
IC乗車の場合 81元(約360円)、切符乗車の場合 139元(約630円)
台中⇒台南 距離 159.9㎞
IC乗車の場合 296元(約1,330円)、切符乗車の場合 363元(約1,630円)
参照:料金試算(台湾鉄路公式)
スケジュールの立て方(時刻表)
まず台湾鉄道の時刻表を日本語版としてまとめてくださっている台湾鉄道時刻表(非公式)を参考に、どれくらいの頻度で列車が走っているのかや、極端に本数が少ない区間がないかを確認しました。最初はそもそもどのように鉄道が走っているかもわからなかったので大変参考になりました。
あとは当日、台湾鉄道の公式サイト(日本語)で検索して最新の時刻を確認しました。公式アプリもあり、日本語表示は出来ないものの、時刻検索程度であればごく簡単な操作なので問題ないと思います。Googleマップでも時刻の検索はできますが、駅名が中国語読みのカタカナや英語で出て来てわかりづらい場合ありました。
フリー切符について
TR-PASS(一般用) | |
---|---|
3日間 | 1800元(約8,100円) |
5日間 | 2,500元(約11,250円) |
台湾鉄道にはTR-PASSというフリー乗車券があります。一般用は3日間用と5日間用があり、特急の指定席にも乗車できます。この他に学生版(特急乗車不可だけどすごく安い)もあるので、必要な人は公式サイトを見てください。
私は普通に一周するだけだと元が取れなさそうだったことと、特急の指定席に乗車できると言っても予約は台湾鉄道の現地窓口でしかできないので、それならば都度切符を買ったりIC乗車をした方が時間に縛られないのでいいかなと思ってやめました。しかも自動改札は通過できず、改札で紙のチケットを提示しなくてはいけないようで煩わしく感じました。
今回は7割ほどを特急で移動しましたが、台湾鉄道でかかった全交通費は5日間で7,500円程度でした。
特急列車のネット予約
台湾鉄道の公式サイトから予約できます。乗車日の28日前から予約可能です。
TOPページを開き、右上のLanguageから日本語表示に切り替えます。ネット予約は左下のオンライン個人で予約「詳しい情報を知る」をクリック。
必要事項を記入し、乗りたい列車を検索します。
①パスポート番号
②予約方法を選択。列車番号がわからない場合は「時間帯」を選択
③出発駅、到着駅、乗車日、時間帯を選択
④人数を選択
⑤列車の種類を選ぶ(複数選択可、自強3000・太魯閣・普悠瑪・自強が特急)
⑥途中で席の移動があっても良ければ選択(長距離の場合など、通しだと空席がなくても途中で座席移動OKなら切符が取れることがある)
⑦窓際、通路側の選択(座席表からの選択はできません)
③出発駅、到着駅の選択方法ですが、リストアイコンをクリックすると目的の駅がある県や市が表示されるのでまず選択。その後、選択した県や市にある駅名が表示されます。漢字で入力しても可。
入力が終わったら、右下の「照会」をクリック。
希望に合う列車が一覧になって表示されます。希望の列車を選択。
一番下にある「私はロボットではありません」とチェックし、「次へ」をクリック。
予約が完了しました。アドレス登録はないので完了メールは届きません。必ず予約番号をメモしておきます。
支払い期限までにクレジットカードで支払い完了しないと自動的にキャンセルとなります。この場合は予約翌日の深夜24:00までが支払い期限のようです。
「次へ」をクリックするとクレジットカードでの支払い画面に進みます。
クレジットカードで支払いをします。
VISA、Master、JCBが利用可能です。
当日は駅の券売機でパスポート番号を入力して切符を発券します。券売機のトップ画面で日本語表示に切り替え、「チケット受け取り」をタッチして発券手続きを進めます。
※わからない場合は駅の有人窓口でも発券できます。
切符をネット購入しておいた方がいい場合は
台湾を一周した感じでは、ICカードや定期券で乗車可能な(旧)特急自強号の朝夕のラッシュはかなりの混雑でした。入口ドア付近に立っているしかない状態で座席のある車両内に入ることもできませんでした。この時間帯は当日に指定券を購入しようとしても、すでに満席。あっても立席券のみ。それに比べて区間車(普通列車)は特に混雑はありませんでした。
ただ、遅延などもあるので、私は特急が混雑していたら区間車に乗って様子を見るなど、臨機応変に移動をしていました。台湾の南のエリア(枋寮⇔台東の辺り)は列車の本数が少ないですが、利用者も少ないようで空いていました。
券売機での切符の買い方
当日券クイック購入
今現在いる駅から当日発車する列車の切符を購入する方法です。通常の購入よりも操作が少なく簡単に購入できます。
駅に設置されている券売機。画面にタッチするとトップ画面が表示されます。
トップ画面で日本語表示に切り替えします。日本語にしてしまえば、あとは日本で切符を買っている感覚で購入できました。
当日券を購入します。当日券クイック購入をタッチ。
今回は台東駅の券売機を使用したので、出発駅は自動的に「台東(臺東)」となってます。(変更も可能)
到着駅を選びます。主要駅名が左側に並んでいるので、この中にあればクリック。
なければ地図から到着駅のあるエリアを選びます。
左のリストに目的地の花蓮駅があるのですが、試しに地図から選んでみようと思います。東台湾エリアをタッチ。
東台湾エリアを選択すると、さらに細かいエリアが選べるようになるので花蓮エリアをタッチ。
花蓮エリアの駅が出て来るので、この中から目的地である花蓮駅を選択します。
直近の発車時間の列車から順に表示されます。
座席の所が赤になっている列車は満席で、チケット購入のボタンが出て来ません。
(画面だと15:17発の自強3000が満席)
希望の列車のチケット購入ボタンをタッチします。
購入人数を入力する画面を経て、確認画面まで進みました。時間や料金を確認し、最後に支払い方法を選びます。
現金の他、クレジットカード(VISA、Master、JCB)、電子決済(Apple Pay,Google Pay)が利用できます。
私はクレジットカードで支払いをしました。画面にカードの挿入口やタッチ場所の案内が出ます。
画面に案内が出るので迷いませんが、こんな感じの構造になっています。
無事切符を手にすることができました。
翌日以降の切符の購入方法
当日券クイック購入よりは多少手順が増えますが、当日だけでなく翌日以降の切符、また台湾鉄道のどの駅を発着する切符も購入可能です。
トップ画面から日本語表示に切り替えた後、「チケット購入」をタッチします。
特急列車の切符を買いたい場合は「急行列車」をタッチ。
次に列車の検索方法を選びますが、「時間帯で購入」がわかりやすいと思います。
列車の種類を選びます。特急であれば特に希望はなかったので「すべて」を選びました。
次に、座席の希望をお選びくださいとありますが、これは窓際とか通路側とかではなく、車両や座席の種類です。普通に指定席がいい場合は「指定しない」を選びます。
・サロンシート⇒4人掛けテーブル席(普悠瑪号など)
・親子車両⇒小さいお子さん連れや妊婦さんに配慮した車両
・自由席⇒(新)自強号3000にある
乗車日、時間帯を選びます。
出発駅、到着駅を選択します。地図から対象駅のあるエリアをタッチすると、駅名のリストが出てきます。
希望に沿った列車一覧が出て来るので、購入したい列車の右端にある「チケット購入」をタッチして購入手続きに進みます。
支払い方法は当日券クイック購入と同じです。
自動改札の通り方
2024年8月に台湾に行った時には、2023年当時とは少し変わっていたので追記します。
台湾鉄道の切符にはQRコードが記載されるようになりました。
台湾鉄道の自動改札は、ICカードをタッチするか、切符のQRコードをかざすと改札を通ることができます。
自動改札がなく、ICカードと切符のQRコードを読み取る機械のみが設置されている駅もあります。こちらも基本的に同じです。
遅延、運転見合わせなどの確認の仕方
今回の旅では旅程が崩壊するような遅延や運転見合わせはありませんでした。ただ、電光掲示板を見ると夕方のラッシュ時などはかなりの頻度で「晚點(遅れ)」の文字を見たので、余裕を持ったスケジュールを立てた方がいいかもしれません。
準點=定刻通り
晚點=遅れ
停駛=運休、運転見合わせ
運行状況は台湾鉄道の公式サイト(日本語)でも確認でき、トップページの上部にある列車運行状況をタップすると表示されます。日本語ページなのですが、運行状況のページに関しては日本語と中文が混ざった感じで完全ではありませんでした。(ほぼ意味は理解できそうでしたが)
使用済み切符の持ち帰り方
台湾鉄道の自動改札出口では、切符を入れても回収されずに出てきます。なので切符を記念に持ち帰ることが可能です。
正式な持ち帰り方ですが、多くの駅で改札の近くや駅窓口に使用済み証明の小さなスタンプが置いてあります。それを切符に押してから自動改札を出ます。
スタンプを押して使用済み切符を持ち帰りました。
ホームでの写真撮影について
スマホでの撮影の場合です。海外ですとホームで列車や駅名標を撮影すると注意されたり、画像削除するよう言われたりすることもありますが、台湾はかなりゆるかったです。ホームの端に行って列車を撮影しても、近くにいた駅員は全く気にしていませんでした。台湾のオタクも普通に駅名標などの撮影をしていました。
交通系ICカードの購入(桃園空港のMRT駅にて)
交通系ICカードは台湾を旅行する時にはあると便利ですし、台湾鉄道の旅でも活躍しました。
ただ、台湾鉄道の券売機では買えないので、MRTの駅やコンビニ等で購入します。私は以前台湾に来た時にMRTの桃園空港第1ターミナル駅で購入しました。
日本語で「ICカード販売、チャージ」と書かれた専用機で購入します。
MRT桃園空港駅で購入できるのは悠遊カード(←ヨーヨーカーというと通じる)という交通系ICカードになります。
トップ画面の下に日本語切り替えのボタンがあるので、「カードを購入する」をタッチして指示に従うだけです。
悠遊カード本体の価格 100元
■チャージ
桃園空港MRT | 紙幣のみ |
台北MRT | 硬貨と紙幣 |
台湾鉄道券売機 | 硬貨と紙幣 |
MRT桃園空港駅の券売機付近には案内係の方がおり、操作方法などに戸惑っているとすぐに手伝ってくれます。桃園空港MRTの券売機はお札しかチャージできませんが、私は硬貨が財布にあると硬貨をチャージできる券売機でなるべく早く悠遊カードにチャージするようにしています。
悠遊カード利用の履歴や残額等はアプリから確認できます。
SIM
台湾は鉄道の乗り方や切符の買い方が外国人にもわかりやすく、あとはネット環境と交通系ICカードさえあれば、ほぼ誰とも話さずに旅できてしまう感じでした。
スマホに関しては、海外でもそのまま繋がるahamoを使っている人が多いみたいですが、私はスマホのSIMを入れ替えて使っています。今回はKLOOKというサイト(台湾キャンペーンをやっていてSIMが50%オフだったので)で事前に申し込みをし、桃園空港の指定カウンターで引換えをしました。你好(ニーハオ)と挨拶だけしてバウチャーを見せればSIMのセットまで全部してくれるので気分が楽でした。
KLOOK(台湾SIM)最後に
海外と言っても、台湾の場合は国内旅行の延長みたいな感じで旅ができました。
券売機が日本語表示にできることが大きく、あとは多少Google翻訳やGoogleレンズがあれば、ほぼ言葉の問題もありませんでした。(そもそもそんなに会話しなくても旅ができました)
かなり旅の敷居は低いと思うので、台北や高雄などの大都市だけでなく、地方の駅や町に行ってみるのも楽しいと思います。そして鉄道の旅自体が楽しいのはもちろんなのですが、同じアジア人なので目立たず旅ができ、日本語が聞こえてこないことの心の癒し(乗ってるとは思いますが全然日本人と会わなかった)、そして治安もいいのでぼんやりできる幸せ。日本から近いですし、疲れて気分転換をしたい時にふらっと旅するのもいいと思います。
それでは楽しい旅を。(おわり)