前から気になっていたブルートレインたらぎに泊まってきました。熊本県多良木町の事業のひとつで、2009年3月まで東京―熊本間を走っていた寝台特急「はやぶさ」のうちの3両をJR九州より買い取り、簡易宿泊所として営業をしています。令和2年7月豪雨の影響でJR肥薩線、くま川鉄道共に甚大な被害を受けたのですが、くま川鉄道は2021年11月より一部区間で運行再開となり、くま川鉄道乗車とブルートレインたらぎでの宿泊、そして人吉観光と楽しい時間を過ごすことができました。
(旅行時期 2022年4月)
ブルートレインたらぎの場所
人吉駅からくま川鉄道に乗って多良木駅で下車。ブルートレインたらぎは多良木駅の目の前にあります。人吉温泉駅(人吉駅)ー肥後西村駅の4駅間が未だ復旧されておらず、その区間は代替バスを利用しました。人吉駅からだと代替バスの時間も入れて1時間弱かかります。私はくま川鉄道に乗りに来たので鉄道利用ですが、路線バスでも行くことができます。(どちらも本数は少ない)
多良木駅で列車を降りると向こうにもう見えています。徒歩30秒くらい。
人吉までの公共交通機関でのアクセス
2022年4月現在、令和2年7月豪雨の影響でJR肥薩線が不通となっています。飛行機利用の場合は鹿児島空港まで行き、空港から高速きりしま号で人吉に行くのが便利だと思います。高速バスを人吉ICで降り、そこから人吉駅までは路線バスで16分です。
高速バスを降車後、人吉IC近くのファミマ前からくま川鉄道不通区間の代替バスに乗ることもできます。(本数が少ないので要確認。日曜祝日は代替バス運休)
鹿児島空港→人吉IC(高速きりしま号、乗車約50分)
新八代駅→人吉IC(B&Sみやざき、乗車約40分)
熊本駅→人吉IC(高速きりしま号、高速なんぷう号、乗車約1時間40分)
宮崎駅→人吉IC(高速なんぷう号、フェニックス号、乗車約2時間)
チェックインと設備案内
3両編成のブルートレインたらぎの全体図。1号車と3号車が宿泊スペース。2号車が共用スペースとなっていて、入口とフロントも2号車にあります。
車両は野ざらしではなく屋根を作って保護してあります。この先頭の部分に車掌室がそのまま残っていて、フロントに言えば見学させてもらえるそうです。私は知らなくて見学せずに帰ってきてしまった…。下調べ大事よ。
チェックインは14:00~21:00
入口は2号車の1か所だけ。チェックインを含めたフロント業務は21時までですが、21時以降も外出は可。21時以降は施錠されますが、夜間は警備スタッフがいて入口横のベルを鳴らすと鍵を開けてくれます。
2号車の1番奥まで進むとフロントがあるのでチェックイン。料金は前払い制です。
クレジットカードも利用可能です。
今回は個室を選んだので部屋の鍵と乗車券風の宿泊券が渡されます。外出の時には鍵をフロントに預け、戻ってきた時に宿泊券を見せて鍵を受け取ります。
お風呂やシャワーは施設内には設置がなく、すぐ向かいにある町営ふれあい交流センターえびすの湯を利用するのですが、そこの入浴券もチェックイン時に無料でもらえます。
宿泊客が利用するトイレは列車に隣接する形で増設されています。この扉から先が増設部分。きれいな洗面所もあります。
2号車と3号車の2か所にあり、男女共用となります。とてもきれいなウォシュレットトイレ。
他に3号車の最後尾部分に洗面台が2台あります。お湯は出ません。
列車に元々設置されているトイレは倉庫になっていて使えません。
列車内にある現役の頃から設置されていた洗面台。水が出たり出なかったりするので使えないとのことでした。
こちらも現役の時に使われていたもの。現在は利用できないですが見て回ると楽しいです。宿泊者用の飲料水とお湯はフロント横に用意されています。
客室(B寝台ソロ個室)
それではお部屋へ。3号車はソロ個室が18室並んでいます。
上段と下段の個室が互い違いに並んでいるのですが、私は下段でした。
右側にあるのが後付けされた照明のスイッチです。天井と右下の壁に照明があり、照度の調整はできません。
一括管理のエアコンの送風口が天井にあり、締めたり角度を変えるなどして多少の調整はできました。
ハンガーが1つあります。
こちらは枕元。読書灯は現役時代から使われていたものですが、現在は利用できません。個室内のゴミ箱も使用できず、ゴミは2号車の共用スペースにあるゴミ箱に捨てに行く必要があります。
枕元にコンセントが2口あります。
こちらも今は使用できませんが現役時代の名残の品。目覚まし時計や照明のスイッチ類。
足元にある、たぶん靴を収納するスペース。
かなり重くてしっかりとした折り畳み式のテーブル。怪我をしないように。
貴重な列車の備品を汚さないように、シーツをセットしないといけません。
枕にはカバーがすでにセットされているので、シーツを敷き、毛布をカバーの中に入れます。
セットしてみました。シーツもそうですけど、毛布も細長い列車仕様のものでした。
丸い方が廊下側(線路側)、四角い方が道路側の窓ですが、どちらにも厚手のカーテンがついていて夜でも気になりませんでした。
ちなみにこちらは上段のお部屋。上段、下段は選べませんでしたが、今回泊まった下段は天井が高い部分があるので着替えはしやすかったです。
※許可を得て見学、撮影をさせてもらっています。
客室(開放型B寝台)
1号車も見てみたいと思ってフロントで聞いてみると、この日は誰も宿泊者がいないとのことで見学と撮影の許可をいただけました。
1号車は開放型B寝台です。
こちらは下段。グループや家族連れなら楽しいかもしれないですね。個室と宿泊料が同じなので、個室の方が断然予約が多いそうです。
1号車は22時で消灯となりますが、各枕元に読書灯があります。開放型は各枕元にコンセントの設置がなく、下段の壁際に2口だけとなります。ブース以外の場所(通路の壁など)にあるコンセントを使う場合はフロントの許可を得るようにと注意書きがありました。
2号車の共用スペースで食事
宿泊スペースでの飲食は一切禁止のため、食事や飲み物は2号車の共用スペースで。飲酒もOKだそうですが感染症予防対策で21時までとなっていました。共用スペースは22時で消灯となります。
共用スペースにあるもの
・電子レンジ
・飲料水とポットのお湯
・有料のセルフコーヒー(100円、カップをフロントで購入)
・各テーブルにティッシュペーパー
・大型テレビ
線路を挟んですぐ向かい側にある多良木えびす物産館で食料を調達してきました。
営業時間(第2、第4火曜定休)
夏期(4月~9月)8時~18時半
冬季(10月~3月)9時~18時
しかも閉店間際だったからか半額になっていた。お弁当はなかったですけど、お惣菜が充実していました。あとはご飯ものやパンなどもあるので組み合わせて。
線路を渡って徒歩1分の場所にローソン球磨多良木店(営業時間 6時~24時)もあります。飲食店も何軒かあったので何かしら食事にはありつけると思います。
部屋で出たものも含め、ゴミは全て分別してテレビの下のゴミ箱へ。
コカコーラの自販機が敷地内にあります。
お風呂とアメニティについて
アメニティは何もありません。歯ブラシとタオルをフロントで売っています。
タオルは持っていたけど見たら欲しくなって買いました。(300円)
入浴場所であるえびすの湯でもタオルは売っていて200円だそうです。
チェックインの時に渡された入浴券。ブルートレインたらぎには風呂やシャワーの施設はないため、向いにある多良木町ふれいあ交流センターえびすの湯を利用します。
◆多良木町ふれあいセンターえびすの湯
営業時間 10:00~22:00(受付21:30まで)
第2火曜日が定休日。その場合は翌日に利用可能。チェックアウトが12時なのは翌日のお風呂利用のためでしょうか。
温泉ではないけど、広々していて気持ちの良い温浴施設でした。
・鍵付きロッカーあり(無料)
・ドライヤーあり(無料、女性風呂は3台あって威力も普通)
・リンスインシャンプー、ボディソープ設置
・ドライサウナとスチームサウナがある(男女でどちらか日替わり)
・露天風呂あり
入口ですっごく美味しそうな瓶牛乳を売っていました。風呂上りに最高。
無料Wi-Fiについて
各車両で無料Wi-Fiの利用ができるようになっていました。個室内で動画もストレスなく見られました。
予約と宿泊料金について
じゃらんからだと直近の予約はできないようで(おそらく3日前くらいで締切?)、私は公式サイトから予約しました。どちらで予約をしても宿泊料金は同じで、現地支払いしかできませんが、じゃらんからだとポイントや全宿クーポンなどもあれば使えます。
◆宿泊料金
大人 3,140円
子供 2,090円(3歳~中学生)
※土曜やGW等でも宿泊料金は変わりません。
感想や気になったこと
もう動くことのない寝台列車なのですが、真横をくま川鉄道が通る時の音や振動!これが本当に寝台列車に乗っているみたいなんです。ブルートレインを使った宿というだけでも気分が高まるのに、列車に乗っている雰囲気まで楽しめるとは。是非1度体験してみて欲しいと思います。とても楽しい時間が過ごせたので、また来たいと思います。
女性1人での宿泊に関してですが、個室であれば鍵がかかりますし、夜間も無人になることがないので(警備の方がいる)特に不安はありませんでした。
ただ、簡易宿泊施設なので、私のようにどこでも眠れる人以外は快適かどうかは分かりません。寝返りがうまく打てないくらい狭いので。ホテルでもゲストハウスでもなく簡易宿泊所です。施設内は清潔ですが、ホテルとは違うので多くの期待をしてはいけません。今回は私の他に1人しか泊まっていなかったので気になりませんでしたが、壁の防音加工をしていないと注意書きにあったので、物音などが響く可能性があります。私はリュック派ですがキャリーケース派の人は広げる場所がないと思います。
あと、アメニティが何もないので、持って来た方がよいと思ったものをメモしておきます。
・寝る時や風呂へ行く時に楽な服
・使い捨てスリッパかビーチサンダル(個室や施設内用)
・メイク落としや基礎化粧品、洗顔料、綿棒など
・タオルと歯ブラシ(販売あり)
・ティッシュ
・コップ(花粉症なので目を洗いたかった…)
※えびすの湯にあるのがリンスインシャンプーなので、苦手な人はシャンプー&コンディショナーセットが必要ですね。ボディーソープはあります。
食事はこだわりがないのであれば、早い時間であれば物産館、遅いのであればローソン(6-24時営業)がありますが、人吉駅の駅弁(人吉駅弁やまぐち)を買って宿へ向かうのもお勧めです。飲食店もいくつかはあるようです。
くま川鉄道は本数が少ないので、沿線観光にはレンタサイクルを併用するというのもいいと思います。人吉球磨エリアで6カ所のレンタサイクルの貸し出し場所があり、ブルートレインたらぎもそのひとつです。くま川鉄道は自転車でそのまま乗車することができます。
平成筑豊鉄道(福岡県)には駅舎に泊まれるゲストハウスがあります。
ブルートレインたらぎの情報まとめ
〒868-0501 熊本県球磨郡多良木町多良木1534-2
チェックイン 14:00~21:00
チェックアウト 7:00~12:00 (早朝に出る場合などは要相談)
消灯 22:00
駐車場 あり(無料)
◆ブルートレインたらぎ
フェイスタオル | △販売のみ | シャワー | × |
バスタオル | × | 風呂 | △えびすの湯を利用 |
歯ブラシ | △販売のみ | コインランドリー | × |
寝巻 | × | ||
スリッパ(使い捨て) | × | 無料Wi-Fi | ○ |
ハンドソープ | ○ | コンセント(個室) | ○(枕元2口) |
ティッシュ | △共用スペースのみ | コンセント(開放型) | △(ブースで2口) |
自販機 | ○ | 携帯充電器 | × |
テレビ | △共用スペースに1台 | USBポート | × |
◆多良木町ふれいあセンターえびすの湯
営業時間 10:00~22:00(受付21:30まで)
定休日:第2火曜日
フェイスタオル | △販売のみ | くし | × |
レンタルバスタオル | × | ||
館内着 | × | ||
ドライヤー | ○ | 温泉 | × |
リンスインシャンプー | ○ | 大浴場 | ○ |
コンディショナー | × | 露天風呂 | ○ |
ボディソープ | ○ | ドライサウナ | ○(男女日替わり) |
綿棒 | × | スチームサウナ | ○(男女日替わり) |
コットン | × | コインランドリー | × |
メイク落とし | × | 休憩所 | ○ |